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I CAN LOVE MYSELF [INTERVIEW: Can]

2025年12月30日
読了時間: 8分

クィアスペースでパフォーマーとして活躍している can さん。DJ、ファッションデザイナー、マルチに活動しながら、ユニークな雰囲気を醸し出している can さんに 現在の活動内容や・原点・can といった名前の由来など、話を 聞かせてもらった。


街灯もないような田舎から上京してきたという can さん。

まずは、いつから何がきっかけでファッションに興味を持ち始めたのかを尋ねてみた。


雑誌ページ:

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Q. ファッションに興味を持ち始めたきっかけって?


小学 2 年生の時、父が履いていたコンバースに憧れがあって、買ってほしいとお願いしたんです。それが、初めて自分の意思で、これを身に付けたいと選択した瞬間だったことを覚えています。ただ、それがファッションに目覚めたきっかけではなくて、本当に興味を持っ

たのは大学に進学した時だと思います。

大学に進学したら、私服登校になるんですよね。その時の自分のファッションがダサく

て、、(笑)見かねた友人が、古着屋に連れて行ってくれました。そこで今までしたことのないファッションにチャレンジしてみたりして、そしたら凄く自分のことがかっこよく思えて。ファッションって凄いって感動したことがきっかけで、その経験が今に繋がっていると思います。


大学は地方の美術大学に進学して、車や家具などのデザインを学ぶプロダクトデザイン学科を専攻してたんですけど、ファッションに目覚めちゃったので、課題とかにも、ファッションの要素を取り入れるなどして提出していました。

他にはファッション関係のインターンに行ったり、休日は都内に通い様々なスタイルをインプットしたりしていました。


現在は都内の服を作る会社に勤めながら、個人でも洋服を制作している。


Q. DJ を始めたきっかけは?


大学時代にアルバイトしていた古着屋の店主が、DJ をしていたので、それがきっかけで、初めてクラブに行ってみたりして、、。最初は、周りの環境に衝撃を覚えたましたが、DJ に自然と興味を持ち、機材を揃え始めました。


Q. 自分で洋服を作り始めたきっかけは?


DJ パーティーに通い始めた頃は、友達もいなくてずっと一人で通っていました。フロアにいる人たちは、皆平等だと思うし、その空間には格差も差別もない。音の中で出会える平等な空間が好きで、通っていました。でもどこかで孤独はいつも感じていて、せっかく楽しみに来ているし、好きなファッションをしているのに、毎回孤独を感じることが辛くなってきちゃって。それならもっと自分が気持ちよくなれるファッションや、洋服を作っちゃお!と思い立ってみたことがきっかけで、制作し始めました。そしたら、アイテムを通じて、海外の人から話しかけてもらうことも多くなってきて、色々な人との出会いにも繋がりました。


Q. 今の can さんのファッションやマスクなどの見た目には、どういった意味が?


『Limp Bizkit』というバンドの Wes Borlandという好きなギタリストがいるんですけど、その人は、バンドのコンセプトとはかけ離れているような見た目でプレイしているんです、でもそれがすごくかっこよくて、刺激的でその姿に感銘を受けたのが、今の自分に繋がっているかもしれないです。


マスクを付けるきっかけとなったのは、『愛のテクノギャルズ』というパーティーです。

『一番あなたがなりたい格好で来て』といったドレスコードのようなものがあって、マスクを付けて踊るという姿に憧れがあったので、パーティーの 5 日前にマスクとチャームを購入してみたんです。当日はそわそわしながらも付けてみるとオーガナイザーから『凄く素敵だね』と言ってもらえて(笑)それが凄く嬉しかったんです。自分のやりたいと思った好奇心を認めてもらえたという初めての感覚でした。マスクをするというのは、自分の真実を隠すとか取り繕いたいとか嫌われたくないとか、そういった気持ちから仮面を被っているのではないかと他人から指摘を受けたこともあったんですけど、今はその部分も含めて自分だと言える気がするし、マスクを付けて踊っている時の方が単純に気楽に楽しめるというか、だからマスクを付けるようになりました。その延長線上で、この姿がそういったパーティーでの自分の正装になり、DJ としての活動も行なっています。



Q. なぜ can という名前を?


I CAN LOVE MYSELF から、can という名前をつけました。こういった活動を始めた当初は、自分がやっていることは正しいことなのか、良いことなのか、自分に対して満足できているのか、相手に喜んでもらえているのか、現実や気持ちと向き合うことができなくなった時期がありました。音楽が聴けなくなったり、洋服を見れなくなったり、自分の娯楽としていたものに、全く興味を持てなくなってしまったんです。自分の心の中の正直な気持ちは理解しているのに、それを認めてあげることができなくて。自分が憧れる人は、目標のためにこういうことをやっているから同じようにしなければいけないとか、強迫観念のようなものに襲われるようになりました。I CAN LOVE MYSELF は自分が他人と比べてできないことや、好きではないこと、ネガティブな自分を認めてあげることが、自分を愛するということなんじゃないか?

でもまだ自分がちゃんと自分を愛してあげられている自信がないから、“ 愛することができる ” という思いを込めて、can を入れました。この気持ちを忘れないようにするための名前です。


お風呂にゆっくり入ったり、ホットティーを飲んで心を落ち着かせたり、一般的にセルフラブの仕方として勧められている方法では、自分の気持ちなんか解決しない、そんなことで悩

みなんて解決するわけがない。

だからセルフラブという言葉が嫌いだった。


そして自分を苦しい状況に追い込んで創作活動に打ち込むことが良いものを作るための近道だと思っていたし、それをミューズにしていたけど、「I CAN LOVEMYSELF」この名前が自分の心を救ってくれた。


私にとってセルフラブはできない自分を受け入れ

てあげることなんだと。


この名前は、2024 年の春頃に改名してつけたそう

だが、そこには can さんの “ セルフラブ ” への思いが詰まっていた。

クィアトーピアで出会えた友人達は、かけがえのない存在


 Can さんには、今回のTHEAのテーマでもあるセクシュアルマイノリティーについても話してもらった。

自分がクィアかどうか分からないと思いながらも、この思考は生まれ持ったものではなく、生活をしていく中で作られた価値観だと話してくれた。


小学 3 年生の時、性的指向をアウティングされ、 高校 3 年生までその性的指向に関して揶喩され続けていたそう。

男子校に通っていた当時、1人の男の子に素敵だねと言ってもらえたことがきっかけで

その子のことを好きになった。


周りからもゲイだと揶揄され続けていたのもあり、その子のことを好きだと答えることで、ゲイとして自身をラベリングし、他者から見捨てられないようにしていた。だからこそ、友人のことが好きではあるが、自身のキャラクターのためにゲイである自分を演じている感覚もあったという。けれど結局、高校生活において人間関係はうまくできなかった。

大学で出会った友人と高校時代の恋愛について話した際、この経験を明かすと、その友人は自分も男の子が好きだということを明かしてくれた。 ただ真っ直ぐ、「僕はゲイ」と明かしてくれた友人が近くにいるのに、ピエロとして演じていた過去の自分を振り返り、本当に男性のことを好きになってもいいのか、と考えるようになってしまった。


そんな時、上京して出会ったとある人に相談した時、

「どんな形であれ、その高校時代の経験は恋だと思うよ」

という言葉が返ってきた。


そこから自身の性的指向やセクシャルマイノリティーについて探り始め、そこで出会ったのがクィア達が集まるパーティークィアトーピアだった。そこにいる人達は、自分が悩んでいることや思っていることを当たり前のように受け入れてくれて、話を聞いてくれて、

自分はクィアとして生きていいんだと思えるようになった。


そんなかけがえのない友人達に出会えたクィアトーピアのようなパーティーを、自分も開けるようになりたいと夢の一つとして語ってくれた。 


Q. 過去の作品と今の作品を比べて見て、作り始める時のマインドの変化や、デザインの違いはありますか?


過去の作品はノイジーに訴えていたものが多かったなと思います。というのも、幼少期の話なんですけど、両親が喧嘩をしていた時に、お皿をわざと割るなど言葉ではないアクションで喧嘩を止めようとしていたんです。音を使って、自分の気持ちを伝えようとしていた子供時代でした。その時のもどかしさや、うまく自分を表現できない苦しさが、お皿の破片のような姿でデザインに繋がっていた気がするなと思います。


今は自分の好奇心を元に作品作りに励めています。好き嫌いや価値観を理解できるように

なったことで、これが私の作品だと言えるようなモノづくりをできるようになって、ハッピーなイメージのあるアイテムを作れるようになったことが、過去との違いだと思います。


Q. やりたいこと、展望はありますか?


趣味趣向に気づき始めた今だからこそ、その気持ちや感覚を大切に育みながらファッショ

ンや DJ に向き合いたいです。そしてもっと様々な人と出会いや景色を見ることを大切にしたいです。4 年前に上京してきて、自分にはこの4年間で得たものが何もないと思っていたんですけど、最近引越しをして、本・服・レコード、当時自分が大切にしていたものが色々出てきて、そこに自分のソースを感じました。

荷造りの際に出てきた、物として残っているもの達はこの場所で自分が生きてきた証の宝箱のように思えて、自分の好きなように、進みたいように生きていけばいいと、引越しを通じて改めて感じました。


だから自分のエゴで楽しむだけで良いから、これからも沢山の経験を積みたいと思っています。


------ END OF ARTICLE.03

 
 
 

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